♪2008 March

・2008.03.25 (Tue)
  佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon)、山中裕平 (Vn)
  スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)
   【国分寺】クラスタ


 さてさて、個人的に最も楽しみにしていた今夜のメインイベント。
 国分寺クラスタでの、アルゼンチンタンゴのライブ。
 ボサノヴァよりもさらにマニアックなジャンルとあって、一緒に行ってくれる人(もちろん女性)が誰もいなかったので、I社長に無理矢理運転手兼付き添い を頼んで、瑞穂から国分寺まで送ってもらって一緒に聴いた。僕がこのバンドの存在を知ったのはつい1週間前で、何の予備知識もなかったのだが、この1週 間、本当に本当に楽しみで待ち遠しかった。というのは、僕は普段はブラジル音楽に傾倒しているけど、アルゼンチンのアストル・ピアソラだけは例外で(まあ 他にもバッハとかYUKIとかメタリカと か例外ありまくりだけどね・・・)、20年ほど前からピアソラのCDを少しずつ買い集めて、かれこれ15枚近くは所有しているのだ。学生の頃にはクラシッ クギター用にアレンジされた「ブエノスアイレスの夏」を一生懸命練習したこともある。CDで特に好きなのはライブ盤で、ピアソラは 90年代前半に亡くなったのだが、生前のセントラルパークコンサートやトーキョーライブのCDを聴くたびに、「ああ、一度でいいからピアソラの5重奏団、 6重奏団形式のナマ演奏を聴いてみたい・・・」  という思いは募るいっぽうだった。

 今回国分寺で聴いたバンドは、"El Fuelle"(エル・フエジェ)という名前のタンゴ専門のキンテート(五重奏団のことを確かキンテートと呼ぶ)。メンバーは全員日本人だけど、楽器編成 やプロフィールを見る限りではかなり本格的だ。1週間前にコロボックリのショーロライブを聴いた後に、クラスタの田中マスターと雑談しているときにイチオ シされて知った。
 「Nさんもタンゴ好きなんですか!
  それだったら3月25日のエルフエジェが断然おすすめですよ!!」と。
 演奏曲目は、ピアソラの曲よりもむしろ、タンゴの古典的名曲やオリジナル曲のほうが多かった。でも、ピアソラしかタンゴを知らない僕のような者にとって も、期待以上に満足感の高い演奏だった。まず、演奏レベルが高い。そして、ビジュアル的にも不思議と目が離せない。
 バンドネオン(アコーディオンみたいなアレです)の早川純さんは芸大卒で、10代の頃からバンドネオンに慣れ親しんでいる凄腕。まだ20代だそうだが実 に色気のある演奏。バンドネオンの生演奏というのも滅多にお目にかかれないから一見の価値がある。  
 ピアノの佐藤美由紀さん(リーダー)は見たところ、クラシックの技術とジャズの即興とタンゴ独特のメリハリが見事に融合されていて、これほどタンゴをタ ンゴらしく弾ける日本人ピアニストがいるだろうか!?と思うほど。弾いている姿も情熱的で実にかっこいい。
 ギターのスズキイチロウさんはなんとサウスポーで、ナイロン弦のギターとスチール弦のジャズエレキの2本を、曲によって使い分けていた。弾き方もピック を使ったりpimaの4本指で速いスケールを弾いたり自由自在。強弱も実に巧い。僕もギター弾きだからよくわかる。この人はすごく巧い。おそらく(推測だ が)ジャズギター出身で、ジャズギターを出発点にして幅を広げてきたのではないだろうか。クラシックやエレキ出身者とは何かが違う。音楽に広がりを感じさ せるのだ。
 ヴァイオリンの山中裕平さんとコントラバスの清水良憲さんも、かなりの腕前。(実は僕は小学校2年から6年までヴァイオリンを習っていたので多少わか る。)楽器もかっこいい。特にヴァイオリンは目を引いた。塗装がハゲまくった古そうなヴァイオリンに、青メタリック色の弓という、古典と前衛を合わせたよ うなミスマッチな組み合わせだった。それはちょうど、フライフィッシングで、ペゾンのバンブーロッドにエーベルの青メタリックのリールを組み合わせたよう な斬新さだった。 
  *マニアック過ぎる話ですみません・・・。
 ライブの終盤で、僕はちょっと泣いた。
僕の好きなピアソラの曲「ブエノスアイレスの夏」と、「ブエノスアイレスの冬」が演奏されたとき、
「冬」のほうで、不覚にも、涙腺がゆるんでしまったのだ。
これだ。これなのだ。僕がずっと聴きたかったのは。
僕がひそかにポロリと涙をこぼしていたのを、田中マスターはカウンター越しに見ていたに違いない。

 CDも出しているというので、ライブ終了後に売ってもらった。ついでにサインもお願いした。
今、そのCDを聴きながらこの日記を書いている。
次のライブは、なんと江古田でやるそうだ。僕の家から歩いて2分ほどのところにあるBUDDYで。
4月17日。もちろん絶対行く。
(問題は誰が一緒に行ってくれるかだな。男2人ではもう行きたくない。泣)

by N


 Nさま、はじめてのご来場ありがとうございました。
また、色々と観察していただいて、恐縮です。(笑)
4月のBuddy、お待ちしてますね。 男性お二人連れ、大歓迎ですよ〜♪♪♪