♪2009 October

・2009.10.17(Sat)
  佐藤美由紀(Pf)、川波幸恵(Bandoneon)、西田けんたろう(Vn)
  スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)、ケンジ&リリアナ(Dance)
  【日光】小杉放菴記念日光美術館


<紅葉の日光の旅>

10月はじめから始まったツアーの(ミユキタンゴのメンバーは9月29日から)
終わりは紅葉の日光。私たちは途中1週間東京に戻りましたが、メンバーは20日間にも及ぶ九州・関西ツアー。病気も怪我もケンカもなく、そして演奏に 機材の搬入撤収にますますの技量の向上、大事なことですよね、同じ飯を食い同じ屋根の下で寝る。少々食い過ぎのキライはありますが・・・。大谷川に隣接す る自然の中にゆったりと佇む小杉放菴美術館。 紅葉真っ盛りのこの美術館のホールに100人を超す人たちが来ていただき、タンゴを楽しんでもらいました。 イルシオンの黄色い人形、ハチャメチャナ台風、そして私のトークコーナーまでお客さんを引っ張り出して楽しみました。 バックにはライトアップされた紅葉が綺麗で、タンゴの演奏によく合いました。 特に「フロール・デ・リノ」の演奏では室内の照明が落とされ、ほのかな灯りの中、 ライトアップされた紅葉と繊細なメロディで異次元の世界を訪れたような感覚がありました。

 宿は霧降高原山中のかわいいペンション。 別棟にある広い音楽室。ピアノ、チェンバロ、チェロ、マリンバなどがおいてあり、夜遅くなっても泊まり客に迷惑かけることなく安心して最終打ち上げ。 翌朝、ここのペンションは本当にきれいな面倒見のいいペンションで朝ご飯も素敵。人気があるのか3歳くらいの子供のいる若い家族連ればかり。 そこには不釣り合いな飲み過ぎのオッサン3人。
「ボクも早くあんな家庭が作りたい」とまだ若いバイオリンのけん様。
「ワシャ、もう遅すぎ、アカン。」とケンジ。 「オッサン3人で、朝の爽やかな高原の空気を汚してますよね、 誰か女性のメンバーが来てくれればいいのに。」とコントラバホのシー様。 そこにやってきた待望の女性メンバーは、 オッサン3人以上に二日酔いのけだるい空気を持ち込んできました。 山の景色はこんなに爽やかなのに・・・

ペンションのご厚意により、チェックアウト後も音楽室を使って下さいといわれた私たち、 たくさん練習に励みました。 イチロウさんが一人いれば、本当に楽しい。 ジャズ、タンゴはもちろんシャンソンからフォークまですべてを華麗なテクニックでカバーしてくれる。 一家に一台イチロウさんを・・・ですな! 練習??はフォークジャンボリーへと変わっていく・・・。 午後からは ツアー最後の最後、去年もお世話になった下今市駅前の「Cafe-Bar珈茶話」。 若い方々もたくさんいらしてくれました。目一杯踊りましたよ。

終わってしまいましたね。
楽しかった、ありがとう、メンバーに!各地でご来場頂いた方々に!


< ツアー後記 >

クラスに行くと生徒さんが「ケンリリさん、スゴイですね。
ツアーなんかやっているダンサーいないですよね。」って。
ボクたちは連れて行ってもらっているだけ。
全国各地、日本のスミズミまで生の音のタンゴを届けようとしているタンゴバンドがあり、 そんなバンマスがいる。

今の世の中、簡単にダウンロードで音楽が手に入る、
でも これって音楽?????なのかな??
MP3に入れて、ヘッドホンで聴いてこれって音楽????????
かつては音楽って共有していたものだったよね。
歌声喫茶でみんなで肩組んで歌って
「友よーーーーー夜明け前のぉおおおおおおおおおおお
闇ぃいいいいいいいいいいいいいいの中でぇぇーーー・・・・・・」って
ミュージシャンと一緒に過ごして
音の息使い、息を殺しての間の取り方、筋肉の動き
1曲ごとにゼイゼイいっている、感じたもの、それが音楽だと。
ボクもMP3持っていますよ、3台も。
一つにはタンゴ、一つにはクラシック・ジャズ、もう一つは落語。
落語は何百席入っているかな。
でもね、実際落語会に聴きに行って、寄席に聞きに行って噺家さんの表情や空気、
笑いを共有するお客さんたちすべてが合わさって創り上げるライブの世界って
一期一会の凄さや発見があるよね。
知識としてMP3やCDは聴くけど・・・。
MP3にはないホンモノの音楽。
音と空間と、それを創り出すものと聴くものによってしか共有できない時間、
それが音楽なんですよねえ。
全国各地を回っているとさまざまな空間で演奏します。
演奏に適していないところも多々あります。
その都度 そこにあった最上のものを創り出す力、
それは体験でしか得られない財産ですよね。
私たちダンサーも、大きなホール、2畳くらいの場所、
穴の空いたユカ、滑る床・・・・
いろいろなものを体験した上で、そこでの最上のものを出す技術を会得しました。
そんな経験が得られるツアー、そして全国にはまだまだMP3ではなく、
生の音楽をタンゴを待っていてくれる人たちがいる、そんなツアーに参加できて幸せです。
身近に生の音楽を聴く感じるチャンスがたくさんありますよ。
ヘッドホーンを外してライブハウスに行ってみませんか???

by ケンジ