11月2日(木)国分寺「クラスタ」

11月2日(木)国分寺「クラスタ」
佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon)、江藤有希(Vn)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)

061102

【ご来場くださった方のレポート】
 昨夜、mixiのコミュニティ情報を見て「エル・フエジェ」というキンテート(五重奏団)グループのライブに参加した。タンゴ界の革命児=アストル・ピアソラの名前を前面に押し出し、ピアソラ・キンテート・ライブを謳っていたので、一も二もなく飛びついた。ちなみに「エル・フエジェ(El Fuelle)」とは、スペイン語で「蛇腹」という意味だとのこと。もちろんバンドネオンの蛇腹である。 私にとって、アストル・ピアソラの音楽との出会いは全くの偶然である。仕事の資料として目を通していた『2色印刷 カンとコツ』という書籍に載っていた1つのサンプル文に目が留まった。死後間もないピアソラを讃える追悼文であった。そこに書かれていた彼の生き様に共鳴し、探し当てたCDが「ベスト・セレクション」であった。全盛期のピアソラをカバーし、彼のエッセンスが凝縮された1枚である。最初にこいつに出会ったのは幸運だったのか、はたまた運の尽きだったのか…その後も「ラ・カモーッラ」「タンゴ・ゼロ・アワー」、ギドン・クレーメルの「ピアソラへのオマージュ」など、次々にはまっていった。最近では「ブエノスアイレスのマリア」にぞっこんである。

さて、「エル・フエジェ」のライブだが、得意先での所用が長引き、開始時刻には間に合わなかった。後で最初の曲が「ブエノスアイレスの夏」だったと聞き、臍を噛んだ。あれは間違いなく私が最初に聴いたピアソラの曲だったのに…… 第2部では「ブエノスアイレスの冬」はやらないという。残念。 だが、第2部の山場に持ってきた「オブリビオン」は最高だった。曲名を聞いた瞬間に「おおっ」と声が出てしまった。私の知っていた「オブリビオン」は静謐で叙情的な曲だったのに、今回は導入こそ穏やかだったものの、徐々に盛り上がってオーケストラの大団円で締める。「キエフの門」(ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」の終曲)を髣髴とさせる大がかりで情熱的な趣向であった。最後はMC省略で一気に「リベルタンゴ」へとなだれ込み、ライブは最高潮に達した。
 リーダーのピアニスト・佐藤美由紀さんは全身全霊で演奏に没入するタイプ。一曲弾くたびに息が上がっていた。あの「一曲入魂」の姿勢がキンテートの性格を決定づけている。10月19日の日記で書いたカルテット(追記:ロス・タンゲーロス四重奏団)が成熟した完成形だとしたら、こちらは伸びしろの沢山残っている若い集団といったところか。ピアソラ以外のタンゴのレパートリーも広く、オリジナル曲も持ち合わせている。これから注目し続けたい楽団との出会いであった。(Tさん)

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