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11月23日(木・祝)横浜関内「FAROUT」

11月23日 ( 木・祝 ) 横浜 関内「FAR OUT」
佐藤美由紀(Pf)、Vn : 江藤有希(Vn)、早川純(Bandoneon)
広沢” リマ” 哲(T-Sax)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)

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【ご来場くださった方のレポート①】
初の昼間のライブ(午後2時開始)とのことだったが、寝不足が祟ったせいであろうか、バンマスでピアノ奏者のmiyukiさんの調子が今ひとつだったように聞こえた。最初の3曲くらいはちょっと心配だったが、その後立て直したのはさすがである。今回は第2部冒頭の「タンガータ」という曲が良かったように思う。あと、第1部の最後で、タンゴ奏者が神聖視しているピアソラの「鮫」にも果敢に挑戦していたことが印象に残った。 先日の日記で、「エル・フエジェ」とその周辺のライブは一通り目を通した、と書いたら、miyukiさんからすかさずフルート・ギター・ピアノのトリオのパーツが残っている旨ご指摘を受け、併せてライブにお誘いいただいた。せっかくのお誘いなので、極力顔を出すようにしたい。
さて、夕方には東京に戻り、ハンス=マルティン・シュナイト氏が音楽監督を務めるシュナイト・バッハ合唱団の「マタイ受難曲」公開練習を覗いてみた。 ドイツ語の発音や文節で引っかかってる箇所も多く、現時点での精度はまだまだのようである。昼間の疲れが出て途中で眠ってしまい、休憩時間を利用して引き上げた。 あとで来年の公演のチラシに目を通すと、興味深い文章が載っていた。『常日頃、シュナイトは「音楽は生き物だ。私の表現もその日によって変わる」ということを言っている。これは優れた芸術は知と情のバランスが絶妙であることを意味し、音楽は演奏中に瞬間的にひらめくインスピレーションをどう演奏で表現するかで感動の深さが決まることを言っているのだ。音は瞬間に生まれ、そして消えていく。その瞬間にしか命がない音であるからこそ、音楽は輝くのである。』 なんだ、これはイチロウさんがおっしゃっていた即興演奏へのこだわりそのものではないか。クラシックであろうとジャズであろうとタンゴであろうと、根っこは同じなんだ。クラシックや古典芸能は音を冷凍保存したゆえ硬くなっているだけのことで、心ある音楽家の手にかかれば新鮮な状態に解凍された音が現出するのだ。客の入りによっても音が変わってしまうという。そして言わずもがなではあるが、昼と夜ではまるで勝手が違う。かくも音楽は厄介な生き物だが、思い通りに制御して演奏家の想いを伝達できれば醍醐味は格別であろう。今日の「エル・フエジェ」には様々な困難が生じたようだが、これを踏み台にして、次回はグレードアップしたライブを期待する。(Tさん)

【ご来場くださった方のレポート②】
 11月23日はエルフェジェのタンゴライブがありました。この前のクラスタでのライブは行けなかったので、久しぶりです。今回はなんと昼14:00~。客足は?と思っていたのですが、メインのテーブルはほぼ満席で一安心。演奏はスタンダード?なタンゴナンバーからピアソラまで。幅広い内容でした。隣に座っていた人に話を聞いたところ、最後のピアソラの曲(アディオス・ノニーノ)について「なんて美しい曲なんでしょう」とピアソラを知らない人が言っていました。確かに美しいと思わせる演奏になってきています。各パートのバランスも良く、各パートの音が良く聴こえます。時々バラバラに聴こえるときありますが、ご愛嬌。強いて言えば、ギターの音が良く聞こえるのはいいのですが、フレーズをもっとクリヤーな音で弾いてくれれば最高。ギター好きのおっさんの戯言でしょうか。 メンバーの努力でしょうが、お客さんも確実についてきて、これからがますます楽しみになっています。CDも出るそうです。(Oさん)

【ご来場くださった方のレポート③】
きょうは腰痛の治療もあって横浜に戻った。 施療院行きの合間を縫って、タンゴのライブを関内「ファー・アウト」に聞きにいく。前回娘たちと一緒にきいたバンド「El Fuelle(エルフエジェ=別名みゆきたんご)」の横浜ライブである。 今回はピアソラのナンバーもあったが、スタンダードなタンゴナンバーの演奏もあって、私としては大いに楽しめた。 2ステージのラストに演奏された「アディオス・ノニーノ(ピアソラの名曲)」では、サビのバイオリンのソロが始まったら不覚にも目に涙をためてしまった。(Mさん)

11月11日 ( 土 )東大和「カフェバー・空」

11月11日 ( 土 )東大和「カフェバー・空」グラフィティナイト
 佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon )、スズキイチロウ(Gt)

【お店の方のレポート】
 来た・・来た・・来た!!ジャン!週刊アルバイトニュース!←古っ!!11/11(土)グラフィティナイトのなか日。この日はなんとカフェグラフィティが営業してれば5周年の日!!まぁ~逆言うと営業してたらグラフィティナイトは無いんだが(笑)切り口欲しさに(爆)グラフィティ5歳のお誕生会を開きました。以前から告知をしてました・・そう、タンゴで!!!おタンゴキタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!! ひょんな事で知り合ったタンゴピアニスト、佐藤美由紀さん。以前、中目黒・楽屋でのエルフエジェのライヴを観に行きショックを受け入院(うそ)。こ、これは・・と思い、ひたすら温めてきた企画なのだ。温め過ぎてヒナが還っても世話が大変なので御登場願いました!!!なんのこっちゃ・・。
 Miyukiタンゴトリオ ピアノ:みゆきさん、ギター:スズキイチロウさん、バンドネオン:早川純さん
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 参考迄にエルフエジェとは、みゆきさん中心に結成された日本を代表するタンゴ集団でございます。総勢8名だったかな?今回はトリオで来ていただきました。東大和市内に足を踏み入れた事のある方は・・・みゆきさんのみ。スズキさん、早川さんは初めて!早川さんを東大和市駅迄スタッフ・アカネとお迎えに行く。大きな黒い箱を持っている。「こ、これがバンドネオンか・・」と思いつつも「新婚なんですよねぇ~♪」と、ずれた話し掛け。初めてお話したのにいきなりプライベート・・しかも急所(笑)スズキさん、みゆきさんは車で現場入り。『すっごい渋滞してた!!』通常の3倍時間がかかってしまったそうで・・。お疲れですよね。
 リハはミタッチがキッチリサウンドチェック♪リハ終了後の食事タイム。3人の・・噛み合ってるのかどうなのか?なギリギリの会話が笑えました。確実に言えるのは、スズキさんの発言に対するみゆきさんのトンチンカンな答えは絶品です(笑)和んだ頃に・・さぁ~営業開始だぁ~~~~~!!の19時。
 実はココだけの話。ライヴのスタートが、20時半だったんだけどね。20時回ってもお客さんが1人も来てないの!!俺様余裕な顔して皆と話してたけど、内心・・・やっべぇ~~~~~~!!ってドキドキしてたさ!(笑)しかしその直後、常連ojunさん口開けで1組・・2組と御来店。ライヴが始まる頃には、な・ん・と・か!形になりました。ホッとしつつも・・えぇ・・正直嫌な汗、背中を伝いましたよ(笑)ライヴ中に席がドンドン埋まってくれたのは嬉しかった!個人的にお客さんの3分の2は顔の解る方、3分の1は初めての方。皆、みゆきタンゴワールドに吸い込まれていく♪最初は落ち着いて見れなかった俺様。結局気持ちがフラットになった頃、1部が終了!!ステージ内容で記憶にあるのは・・・みゆきさんの激しい演奏後の呼吸の乱れたMCとスズキさんと早川さんのみゆきさんに時たま投げかける『えっ??』ていう視線のみ(笑)まぁ~ね、そりゃね、俺様は今回運営側だからね。まともに聴けなくてもしょうがないよね・・・ (T0T) oh-! でも曲はまともに聴けなくてもヴァイブレーションは伝わってくる。そう、それも自分として普通じゃない感じの。前にも書いたかも知れないが、俺様の知ってるタンゴイメージとは明らかに違う空気感ね。異次元いっちゃうのよ、演奏がね。その感覚が病み付きになるのね。既成の言葉だとフリージャズとでも言うのかな。面白い。第一部終了。拍手喝采。小休止で第二部へ。早川さんのバンドネオン講座も興味深かった。71個?のボタンを操る、魔術師。。いや、侍だ!スズキさんのオリジナルも楽屋で聴いた時から大好きだったので初めてのショックが蘇ってきてゾクゾクしたね。そして、アンコールにも応えていただきました。正子ちゃんが激しくせがんだお陰でもある(笑)リベルタンゴ/ピアソラ。と、鳥肌が・・・。演奏終了後、大拍手!&声援がどこからともなく沸き上がってきた!その雰囲気がとても自然で、単純に「あ、やって良かったな」と思った。老若男女、文化的な夜だった。え?その後?えぇ~と、スズキさんと早川さんはソフトドリンクでぇ~ (o^o^o) みゆきさんは生ビールをジョッキでグイグイっと♪
1163529618 今夜も出演者&お客さんに大感謝です!みゆきさん、スズキさん、早川さん快く御出演いただきまして本当にありがとうございました!御来場いただきました皆様、大変に有難うございました!また絶対やるからね!みゆきタンゴ!!

【ご来場くださった方のレポート】
 先週から「エル・フエジェ」のタンゴとその周辺の音楽を集中的に聴いている。昨日は昼の部と夜の部をハシゴした。 昼の部は自宅から歩いて行ける距離の会場で、社交ダンスクラブの伴奏であった。バンマスのミユキさんからは事前に「オブリビオン」をサックスで吹くと伺っていたが、そのサックス奏者が「リマさん」と呼ばれていること、「エル・フエジェ」の主要メンバーであったこと、怪我のため暫く離脱したことを知ったのは、演奏後のことであった。 社交ダンスの方々がサロン内で歓談するのを尻目に、入口の外でたむろしているミュージシャン達のお話に聞き入った。詳しい中身は私の中で消化不良なのでここでは立ち入らないが、どうやら新しいジャンルの音楽が生まれる直前の胎動を耳にしたようである。
 そして夜の部は電車で1時間以上かけて東京の郊外へ。今回は「ミユキタンゴトリオ」の名前で登場。11月2日の時点ではピアソラの音楽という頭で凝り固まっていたが、今日は「エル・フエジェ」の音楽として聴く余裕が出来ていた。オリジナル曲2曲は彼らの進みたい方向を示しているようにも思われたが、もう少し時間をかけて確認したい。 余談だが、第1部の最後の「ブエノスアイレスの夏」は、先日聴き逃した私のために急遽演目を変更していただいたのだという。リップサービスかどうか判別がつかないが、お心遣いが身に沁みた。最後のアンコールにも応えてくださり、お店のDJの方が驚いていらっしゃった。この「音楽の良心」の行方をもっと追いかけてみたくなった。
翌日、小松亮太さんのCD『ラ・トランペーラ~うそつき女』を購入した。「ミユキタンゴトリオ」ライブでの冒頭の曲=カルロス・ガルデルの「首の差で Por una cabeza」が収録されていたからである。 (※ちなみにこの曲は「濃い生茶」のCMで使われているとのこと。)CDと聞き比べてみた時、みゆきさんの弾き込む音の強さ、そして「一曲入魂」の姿勢を改めて実感した。今回のトリオ(ピアノ・佐藤美由紀、バンドネオン・早川純、ギター・スズキイチロウ)は「エル・フエジェ」の中でも鼻息の荒い個性派3人が残ったという印象だ。暴れ馬・みゆきさんの手綱を引くのではなく、真っ向から張り合っているように見えた。聴衆もその辺を敏感に感じ取っていたようで、熱狂的な拍手を送っていた。「かっこいい!」という女性の声も飛び、演奏後はしばらく興奮醒めやらぬ様子であった。みゆきさん、あなた本当に魅力的な暴れ馬ですよ。
これで「エル・フエジェ」とその周辺のライブは一通り目を通したことになる。この後は11月23日(木・祝)には関内でのライブを予約済みである。しばらく時間があく間に頭を空っぽにして、次に「エル・フエジェ」の奏でる音がどういうふうに聞こえるのか、今から楽しみである。(Tさん)

【イチロウさんのレポート】
 夜の部のタンゴトリオ(M、BN侍、私)は、私が書くのもなんですが、どえらい演奏になりました。 私にとってのジャズの研究課題が、なんとタンゴで実現するとはなんとも複雑な気持ちですが、まさにこの日は3者一体、以心伝心、誰も乗っからない、譜面にも乗っからない、譲らない、でも調和する、色即是空、そんな状態でどこまでいくんだこの演奏というものになりまして、私、感無量。 やはり音楽ジャンルとは、着ていくTシャツの柄みたいなもんで、中身とはあまり関係ない、人間そのものであるのだなー、それがハッキリと手に取るように実感できた日、私にとってのひとつの到達点、理想的な演奏になりました。
 お聴きいただいたみなさん、応援ありがとうございました。おそらくリハたくさんやって臨んだ演奏に聴こえたかもしれませんが、あの演奏のほとんどは簡単なメロディ譜面を元に、各自があるべきところにあるべき音を入れるという即興演奏で成り立っています。リハは本番前のサウンドチェック程度しかやってません。そんなジャズなタンゴ?あれ?タンゴなジャズ?いや、スイングするタンゴ?はみ出す脱線転覆タンゴ?調子に乗ったインチキタンゴ?…、ああ、やはりいい音楽はノージャンル、なんでもいいや。

【ミユキレポート】
 上記のご来場の方が社交ダンスとおっしゃっていますが、昼の部は茗荷谷「ダンスプラザ トモヨ」での生演奏ミロンガでした。リマタンゴ名義ですので詳細は割愛しますが、この前月リマさんが腕を骨折。痛みを押しての出演でした。昼夜ダブルヘッダーでしたので、昼にいらしてくださった前述のTさんをなんと茗荷谷から東大和までお誘いし、音楽の可能性を追求する私たちの証人になっていただきました。一日でサックス入り四重奏と、バンドネオン入りトリオを聴いていただいたわけです。この夜は初出演の東大和「Coo空」。やはりmixiで知り合いになった方がこのお店でDJをしていらして、ライブを企画してくださいました。ライブは天井がぶっ飛ぶと表現されたほど最高のものでした。佐藤美由紀、早川純、スズキイチロウのトリオとしての初ライブでした。

11月2日(木)国分寺「クラスタ」

11月2日(木)国分寺「クラスタ」
佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon)、江藤有希(Vn)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)

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【ご来場くださった方のレポート】
 昨夜、mixiのコミュニティ情報を見て「エル・フエジェ」というキンテート(五重奏団)グループのライブに参加した。タンゴ界の革命児=アストル・ピアソラの名前を前面に押し出し、ピアソラ・キンテート・ライブを謳っていたので、一も二もなく飛びついた。ちなみに「エル・フエジェ(El Fuelle)」とは、スペイン語で「蛇腹」という意味だとのこと。もちろんバンドネオンの蛇腹である。 私にとって、アストル・ピアソラの音楽との出会いは全くの偶然である。仕事の資料として目を通していた『2色印刷 カンとコツ』という書籍に載っていた1つのサンプル文に目が留まった。死後間もないピアソラを讃える追悼文であった。そこに書かれていた彼の生き様に共鳴し、探し当てたCDが「ベスト・セレクション」であった。全盛期のピアソラをカバーし、彼のエッセンスが凝縮された1枚である。最初にこいつに出会ったのは幸運だったのか、はたまた運の尽きだったのか…その後も「ラ・カモーッラ」「タンゴ・ゼロ・アワー」、ギドン・クレーメルの「ピアソラへのオマージュ」など、次々にはまっていった。最近では「ブエノスアイレスのマリア」にぞっこんである。

さて、「エル・フエジェ」のライブだが、得意先での所用が長引き、開始時刻には間に合わなかった。後で最初の曲が「ブエノスアイレスの夏」だったと聞き、臍を噛んだ。あれは間違いなく私が最初に聴いたピアソラの曲だったのに…… 第2部では「ブエノスアイレスの冬」はやらないという。残念。 だが、第2部の山場に持ってきた「オブリビオン」は最高だった。曲名を聞いた瞬間に「おおっ」と声が出てしまった。私の知っていた「オブリビオン」は静謐で叙情的な曲だったのに、今回は導入こそ穏やかだったものの、徐々に盛り上がってオーケストラの大団円で締める。「キエフの門」(ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」の終曲)を髣髴とさせる大がかりで情熱的な趣向であった。最後はMC省略で一気に「リベルタンゴ」へとなだれ込み、ライブは最高潮に達した。
 リーダーのピアニスト・佐藤美由紀さんは全身全霊で演奏に没入するタイプ。一曲弾くたびに息が上がっていた。あの「一曲入魂」の姿勢がキンテートの性格を決定づけている。10月19日の日記で書いたカルテット(追記:ロス・タンゲーロス四重奏団)が成熟した完成形だとしたら、こちらは伸びしろの沢山残っている若い集団といったところか。ピアソラ以外のタンゴのレパートリーも広く、オリジナル曲も持ち合わせている。これから注目し続けたい楽団との出会いであった。(Tさん)